アジルラーニングでは2024年11月7日に無料オンラインセミナー、三谷大紀先生による「子どもの姿をもとにした園内研修のはじめかた」を行いました。

今回は、関東学院大学教育学部こども発達学科の准教授として、教育学や子どもの発達に関する研究を行い、学術的な発表や研究論文の執筆も行っていらっしゃる三谷先生から「園内研修」について具体的な実施策を交えご講演いただきました。

前半の講義は、「園内研修」というと『研修』という言葉から、職員みなさんが一室に集まり、机にむかって「勉強会」のようなイメージを持っていませんか?という先生のお声掛けから始まりました。

もちろん、座学の勉強会で学ぶことも価値のあるものだと思いますが、「語り合い」を行うことで、同僚のよさ・強み・悩みを知り、自分のよさ・強み・悩みを知ってもらって、保育の楽しさや充実感・やりがいを感じながら、子どもたちの姿に驚いたこと、ワクワクしたことを「対話」することを「研修」と捉えるのがよいのではないでしょうか。というお話があり、冒頭から大きく心を動かされた参加者の方も多かったのではないでしょうか?

具体的な語り合う園内研修の方法の1つとして、「フォトカンファレンス」の例示がありました。職員がワクワクする!と思った子どもの姿や、気になっている子どもの写真を持ち寄り、どのようなところが魅力的に感じたのか、その子どもの思いはどのようなものなのだろうか?と理解しようと考え、その写真についてグループディスカッションをすることで、新たな価値を見出し、意味を創発する。そのことが結果として、職員各々が子どもの理解を深め、自分自身の保育に対する新たな視点を得られるのではと考える手法です。

園内研修は、必ずしも全員で行う必要はなく、時間を限定する必要もないのではないでしょうか。また、必ず全員が話さなければならないと考えることもなく、職員みんなが安心して話せる雰囲気を作ることを、全員で作りだしていきましょう。というアドバイスがありました。

子どもの姿をもとに、何が正解か、どのような環境がよいかを一方的に考えるのではなく、マイナスを正すという思考を持たずに、今『できていること』に焦点を当てるようにすること、目の前の子どもの興味・関心や担任の願いに即して、どのような可能性や、どのようなものがあったらよいかを提案していくことが大切であるという内容が大変印象的でした。

後半の45分は質疑応答コーナーを行いました。セミナーお申込の際に、参加者の皆さまから寄せられた沢山のご質問の中からピックアップしたものと、リアルタイムにチャットで寄せられた質問に具体例を交えながらわかりやすくご回答いただきました。

(質問に対する回答は、当日参加された方限定の特典とさせていただきます。)

研修内容について

▼質問
保育実践に繋がる園内研修の内容が知りたいです。
研修での発言や意見などは同じ保育の考え方に向かっていると感じますが、なかなか実践に繋がっていないと思う場面があります。

▼質問
現状の園の課題(できていないこと)を園内研修のテーマにしてもよいのでしょうか。

▼質問
不適切な対応をしていても「自分が正しい!」という職員が多く、困っています。
子どものために保育を変えていきたいのですが、園内研修ではどのようなことをすればよいでしょうか。

▼質問
人数の少ない園ですが、どのようなテーマでやっていくとよいでしょうか。小規模だからこそできるテーマもあれば教えてください。

時間について

▼質問
月に一度18〜20時に職員会議をしており、その中の最後30分程度を使って園内研修をしたりしなかったりという現状です。月に一度、もう少ししっかりと園内研修の時間を取りたいと考えているのですが、お子様がいる職員などのことを考えると無理を言えません。限られた時間の中での研修や、時間の作り方など、アドバイスいただけますと幸いです。

▼質問
まとまった時間をとるのが難しく、隙間時間で集まって取り組んでいますが、なかなか集中して取り組めません。また、午睡中なので全員で参加することが難しいのが現状です。
短時間でも有効な研修方法を教えてください。

▼質問
忙しさを理由に継続が難しいです。「忙しい」を理由にせず継続できるコツはありますか?

活性化について

▼質問
若手の意見の引き出し方や若手からベテランの先生へ意見を伝えられるような雰囲気の作り方が知りたいです。

▼質問
いつも園長、主任から内容を発案し、それを受けさせられている感じの園内研修になってしまっています。本当は保育者から「こんなことを学びたい!」と提案して欲しいと思っています。
保育者が主体的に学びたい園内研修にするために配慮できることはありますか?

職員の意識について

▼質問
園内研修へのモチベーションを高めていける声掛けや仕掛けづくりを教えてください。

▼質問
職員一人ひとりが意欲的に参加できる仕組みづくりを教えてください。

▼質問
研修等で同じ話を聞いても一人ひとりの捉え方や理解に差があります。どう埋めていけばよいでしょうか。

◇当日チャットでいただいた質問

▼質問
主体性保育・チーム保育を取り入れるために、園の内省を整え・仕組化を進めています。

意欲的な先生には、ともに保育を考え、対話し保育を組み立てている実感があるのですが、変革にマイナスなイメージを持つ先生たちとのかかわりに苦戦しています。

対話の機会を設けたり、困り感や課題感を定期的な面談で傾聴していますが、コミュニケーションの取り方・根幹にある疑念の思いを引き出し、寄り添えているのかと自問自答を繰り返す日々です。そのような先生方とのかかわりで、私が工夫できることを知りたいです。

▼質問
副園長1年目(30代)です。
昔ながらの保育が横行している園(職員の平均年齢50代)で、園内研修も過去ほとんどしてなかったようで、今年度より外部講師に来てもらったり、職員同士で意見を出し合ったりして子ども主体の保育を学んでおります。

簡単には変わらないと覚悟していたのですが、ほぼほぼ変わらず子ども達への声掛けが保育者主体、いまだに子どもを否定するようなことばを悪気もなく(無意識だと思う)吐いたりする職員がいます。園長が注意しても変わらず、悩んでいます。

また、主任絶対主義のようなところがあり、主任(60歳)の言うことを職員全員がビクビクしながら聞くという雰囲気も打破したいです。何かアドバイスいただけますと幸いです。

▼質問
話し合いで意見を交わし合いたいけれど、若い先生たちが声をあげにくい雰囲気がある。子どもの素敵な姿や困っている子への対応などについて、自由に話し合えるようにするにはどんな形で行い、どんな点に気をつけたら良いのか教えて欲しいです。

▼質問
園内研修を段階的に進めていけばいいですか?
まず、取りかかりやすい題材や内容があれば教えていただきたいです!

▼質問
作品展に向けて、グループ製作している動画を数日分撮っています。この動画を基に、園外の職員も含めた園内研修を予定しています。視聴する際、ターゲットになる子どもを決め、視聴後、どんな思いをその子はしているか、どんな育ちが見られるか共有する予定です。悩んでいる点は、園外の職員も数名参加するので、今までの子ども達の姿を視聴前に知らせておくべきか、先入観なしで視聴した方がよいか、どちらにしようか悩んでいます。
(配慮児が多いクラスなので、突拍子もない行動が動画の中にあります)

▼質問
語り合う場、大事にしたいと改めて思いました。自分からは発信しない、しようとしない人に対してのアクションについてどのように対応するといいのか悩んでいます。また、発信しても本音ではない人もいて悩みます。

▼質問
先生たちの声かけが多すぎると感じるので、園内研修でその事について話をするのですが、「わかっているが、つい声をかけすぎてしまう」と言われる方や、園内研修の時には「そうだよね」と納得されても、自分で声をかけすぎている事に気づいておらず…園内研修の意味があるのかなと心が折れそうになります。

▼質問
「保育は正解がない」と思いますが、園内研修の時に、終わり方はどのようにすればよいですか?

▼質問
自分で考えることが得意でない職員がいます。具体的な指示を知りたがるのですが、教わることに慣れすぎないようにするためのコツはありますか?

🌸ご参加された方の感想を一部、ご紹介させていただきます。

講義の最後に、三谷先生は以下のようにお話くださいました。

「『今日、ワクワクした子どもの姿』を話すことを大切にしていきましょう。研修を勉強の時間にするのではなく、同僚と自分のよさや子どもたちのすばらしさを語り合うことで、職員全員で明日の保育の原動力にしていきましょう。」これからの光となるような言葉の数々に、大変温かい雰囲気でセミナーを終えることができました。

改めまして、三谷先生や参加してくださった皆さま、貴重なお時間をありがとうございました。

また、12月5日にも三谷先生をお迎えし、無料オンラインセミナー「保育所の自己評価のポイント」

の開催を予定しております。

今回同様、チャットで直接三谷先生にご質問いただけますので、皆さまお誘い合わせのうえ、お申込をお待ちしております。

 ▶「保育所の自己評価のポイント」★お申込はこちら★

監査で必須になっている保育所の自己評価。

「毎年取り組んではいるけれど、話し合いではなく管理職だけで進めてしまっている」

「全職員では話せていない」

「自園にあった項目ではない」

など、さまざまなお悩みをいただきました。

今回は監査に通るだけでなく、職員の育成に効果がある自己評価のやり方を解説いただきます。

【セミナー概要】

・日時:2024年12月5日(木)13:00~14:45(受付開始12:30)

・講師:三谷 大紀(関東学院大学教授)

・対象:ほいりん無料会員・ほいりん有料会員

・定員:先着300名

・参加費 :無料

・開催方法 :Zoomウェビナー(参加者の顔出しはありません)

・申込締切 :2024年11月28日(木)

・途中入退室 :自由

【タイムスケジュール】

12:30~13:00:受付

13:00~13:05:セミナー開始・注意事項説明

13:05~13:45:講義「保育所の自己評価のポイント」

・肯定的な理解がつくる自己評価

・自己評価を支えるチームワークと語り合い

・事例紹介

13:45~13:55:休憩

13:55~14:30:質疑応答

14:30~14:45:ほいりん説明会

※質疑応答後は、オンラインコミュニティ「ほいりん」の使い方やおススメ情報を紹介する説明会を開催します。ほいりんの詳細が知りたい方はぜひご参加ください。

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