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✨感想レポート✨ 1/14セミナー開催:汐見稔幸先生による「子どもが主体的に遊びたくなる環境」
2025.2.06
アジルラーニングでは2025年1月14日に、無料オンラインセミナー「子どもが主体的に遊びたくなる環境」を開催しました。
今回は、東京大学教育学部教授や白梅学園大学の学長を歴任され、子どもの成長を多角的に捉え主体性を尊重した教育を提唱し、教育や子育て支援の第一人者としてご活躍中の汐見 稔幸先生に「子どもが主体的に遊びたくなる環境」について具体的な取り組み方や事例の紹介を交え、ご講演いただきました。
今回の講演を拝聴して、社会の変化により、子どもたちが自由に遊び、自己表現できる場が減少し、運動能力や社会性の育成に課題が生じているというご指摘は非常に説得力があり、「子ども主体の保育」が現代社会でいかに重要であるかを改めて考える機会となりました。
印象的だった資料内の内容の一つが「自分は生活の主人公だ」という感覚を育むことの大切さです。この感覚は、単に子どもの成長に関わるだけでなく、将来的に自分で考え、行動し、問題を解決していく力の基盤となるものであり、現代の子どもたちは、指示に従うことが多く、自ら選び、挑戦する機会が少なくなっているように思います。そのため、保育現場で環境を整え、自由な活動を支える取り組みは、とても意義深いと感じました。
また、保育者の役割についても、ただ見守るだけでなく、子どもの興味や意欲に共感し、適切に関わるという姿勢は、あらゆる保育現場に応用できる考え方だと思います。子ども一人ひとりが持つ可能性を引き出すためには、保育者自身が子どもの行動を丁寧に観察し深く考えることが必要であると感じられたのではないでしょうか。
後半の45分は質疑応答コーナーを行いました。セミナーお申込の際に、参加者の皆さまから寄せられた、たくさんのご質問の中からピックアップしたものと、リアルタイムにチャットで寄せられた質問に具体例を交えながらわかりやすくご回答いただきました。
(質問に対する回答は、当日参加された方限定の特典とさせていただきます。)
保育環境について
▼質問
1歳児が落ち着いて遊べる保育環境にするには、どのようなことに配慮をすればよいでしょうか?
▼質問
0歳児クラスは月齢による発達の差が大きいので、部屋をコーナーごとに区切って工夫していますが、なかなかしっくりきません。部屋も狭く、職員も限られているので理想と現実が噛み合わず、悩んでいます。
▼質問
保育室が人数に対して広く、1・2歳児が同じ空間を真ん中で区切るような形の保育室です。
月齢に合わせたコーナーを作ってはいるのですが、1・2歳児のおもちゃで遊びたがる時、1歳児には危ないようなものもあるため自由に行き来してもらうことがなかなかできないでいます。
▼質問
0歳〜2歳の異年齢保育をしており、子ども達が遊びこめる環境設定に悩んでおります。
それぞれの年齢の子ども達が遊びこめるようにするためには、年齢ごとの空間を作った方がよいのでしょうか?
現在は、ワンフロアを棚で仕切りコーナーを作って、全年齢の子ども達が同じ空間で遊べるようにしているのですが、集中して遊ぶというよりは、あれもこれも気になり落ち着けず遊び込めていない雰囲気があります。どのような環境設定が好ましいのかご教示いただけますと幸いです。
▼質問
幼児クラスです。
様々な教材を準備してあげたいのですが、保育者が枚数管理をしないと、折り紙や色画用紙など、すぐになくなってしまいます。予算などの問題もあり、どの程度子どもたちに任せ、自由に使えるようにすればよいかの線引きが難しいです。
子どもへの関わりについて
▼質問
ダンボールによるものづくりに興味を持っている4歳児ですが、「先生これ書いて」「これ切って」「これ作って」など、大人にやってもらう姿が多いのが現状です。自分で考え、自分で何かを作るようになったらよいなと思い、ヒントになることを伝えたり、手伝うところと、見守るところと、色々とやってみてはいますが、「かけない」「できない」の言葉がよく聞こえてきます。
また、大人が作るよい出来栄えのものがほしい。という気持ちが強く困っています。
▼質問
遊びが混在してしまい、成立しないことが多々あります。
主体性を尊重する中でも小さなルールは決めてもよいのでしょうか?
(例えば椅子に座って遊ぶ、コーナーから持ち出さないなど。)
▼質問
室内遊びで子どもたちの興味が様々で、部屋にある全てのおもちゃを広げ遊んでいます。
一方で、おもちゃを出しすぎて遊びに集中できてない子どもの姿も見られます。
どのような声掛けをするとよいのでしょうか?
保育者間の意識について
▼質問
保育者の感性や経験によって「主体的に遊ぶ子どもの姿」の捉え方が異なり、職員間で話し合って言葉上共有していても、実際の子どもとの生活の中での保育観点が一致しないことが、近頃よくあります。特に若い先生たちとのイメージ共有が毎回どこまで一致しているのか不明なまま、時が流れてしまうこともあります。
ジェネレーションギャップをどのような方法ですり合わせているのか、他園の工夫エピソードを知りたいです。
▼質問
主体的というと「全部子どもに任せる」と思いがちな保育者に、どんなことが主体的だとはじめに伝えるとよいでしょうか?
主体的に活動している子ども達への保育者の具体的な関わりを知りたいです。
小学校との連携について
▼質問
就学前に小学校と連絡をとっています。
子どもの育ちを伝えようとすると、教師は大人(教師や保育士)から見た子どもの困り感で振り分けようとすることに疑問を抱いています。
当日チャットでいただいた質問
▼質問
園庭を大改造したことにより、子どもたちに見えてきた変化、保育者が感じた変化等ありましたらお教えください。
▼質問
保護者が作ったものや中二階的なものは安全面での問題はないのでしょうか?
以前公開された施設では建築士の方が「ここは少し危険だな」と言われていたことがあって気になりました。
▼質問
知育玩具の大切さ、奥深いことがよく伝わりました。購入することができるような園ではないのですが、似たような環境を整えたいと強く感じました。
いろいろな素材を用意する他に、なにか良いアイデアがありましたら教えていただきたいと思います。
▼質問
限られた環境でもできる工夫などアドバイスがありましたらお願いします。
(自然に触れること、身体を使うことが、やはり難しく感じられます。)
▼質問
環境設定を行うと午睡や食事時に、一度片付けないとだめなのですが、
その場合その都度、環境設定を崩して整えていった方がよいのか教えてください。
◇ご参加された方の感想を一部、ご紹介させていただきます。
今回のセミナーを通じて、保育環境の大切さを改めて感じることができました。また、大人として子どもたちの成長を支える役割の大切さを心に刻みました。子どもたちが安心して遊び、自分らしさをのびのびと発揮できる場をつくることは、未来を担う世代への素敵な贈り物だと思います。
改めまして、汐見先生や参加してくださった皆さま、貴重なお時間をありがとうございました。